摂食障害の娘と星と

さて、旅館に戻り夕食の時間です。

一日中思いきり歩きまわり、お腹はペコペコです。

案内された１階大広間のお食事会場には、すでに私たち家族4人分のお膳が　豪華に美しく、美味しそうに並んで私たちを待っていてくれました。

「わぁー！美味しそーー。」

ダイスケはテンション爆上がりです。

「カンパーイ、

いただきまーす！」

速攻、ダイスケはあれこれ　　　これでもかと、口いっぱいに頬張り込みます。　誰に育てられたのか、こんなに美しいお料理を、目で堪能しようという優雅さは１ミリも持ち合わせていないようです。

「美味しいね・・・」

誰に言うでもなく首をウンウンと上下に振りながら、みんな夢中で食べ出しました。

ふと、　まりなの方を見ると

まりなはお箸を持ったまま

何を食べようか、

何だか迷っているようです。

困ったような顔で、

何か考えてもいるようです。

「あれ？まりちゃん、食べないの？」

ダイスケが聞きます。

(お姉ちゃん、とは言わずまりちゃん、と言う弟・・)

「何で？お腹空いてないの？」

「ダイエット？」

「ふーん、ほんでも少しは しっかり食べた方がええぞ。」

夫もそう言いながら、

「食べんなら、、勿体ないなぁ、もらうよ。」

夫もダイスケも、あれら男たち2人は無邪気にまりなのお皿に手を伸ばします。

あ、、

いえ、、、、

私もだった。

「まりちゃん、いらないの？

じゃあデザートのメロン、お母さんにちょうだいね。」

あとで考えると、

この日はきっと、

気分も晴れた楽しい旅行なんかではなかったと思います。

まりなにとって、

それまで自分に

厳しく厳しく課してきた

食事制限の計画が、強烈に狂った一日だったと思います。

家族がいて、その他大勢の人の目もあって、食べなくてはいけないと思う場面で、、、。

過活動にもなって疲れきった身体に、

食べることへの恐怖と迷いを突き付けられた、

どうしようもない動揺の渦に巻き込まれた、、、

そんな一日だったと思います。